2014年1月12日日曜日

政府のない国は存在できるが、国民のいない国は存在できない

 現在、1パーセントの持つ者と99パーセントの持たざる者の
対立が起き、広がりつつある。
 ようするに金持ちと貧乏人のケンカだ。
 このケンカを喜んで見ている者がいるとも知らず、貧乏人は自
分たちの生活が苦しいのを金持ちのせいにし、搾取していること
を攻撃する。
 金持ちは、貧乏人の実情を知ろうともせず、能力のないことを
あざけり、プライドを傷つけ、その結果、大切な友人をなくし、
生命と財産が狙われている。

 チャールズ・ディケンズ原作の「クリスマス・キャロル」は、
金持ちのスクルージが、貧乏人たちがつつましいクリスマスに満
足していることをバカにしたことから始まっている。
 スクルージはあきらかにユダヤ教徒であり、キリスト教のクリ
スマスを祝うことはないのだが、そういった宗教のことはあいま
いにしてこの物語は進んでいる。

 ところで、このスクルージの事務所に、貧困を救済する寄付を
呼びかけている団体の男が、尋ねて来てやりとりする場面がある。

団体の男「今年のこのお祝いの季節に当たりまして、スクルージ
さん、今でも非常に苦しんでいる貧窮者たちのために、多少なり
とも施しをするということは、通常よりも一層願わしいことでご
ざいますよ。何千人もが必需品に窮しているのです、何十万人も
が有り触れた生活の快適を欠いているのでございますよ、ご主人
様」
スクルージ「共立救貧院は? あれは今でもやっていますか?」
団体の男「やっております、今でも」
スクルージ「救貧法も十分に活用されていますか?」
団体の男「盛に活用していますよ」
スクルージ「おお! 私はまた貴方が最初に言われた言葉からし
て、何かそういうものの有益な運用を阻害するような事が起こっ
たのではないかと心配しましたよ。それを聞いてすっかり安心し
ました」
団体の男「そういうものではとてもこの多数の人に対してキリス
ト教徒らしい心身への救済を供給することが出来ていないという
印象でございます。私ども数人の者が貧民のために肉なり、飲料
なり、燃料なりを買えるように資金を募集しようと努力している
のでございます。私どもがこの時期を選んだのは、それが特に、
貧乏が痛感されていると共に、有福な方々が喜び楽しんでおいで
の時だからでございます。ご寄付はいくらといたしましょうか?」
スクルージ「ない」
団体の男「匿名がお望みで?」
スクルージ「いや、私はほっておいてもらいたいのだ。何が望み
だとお尋ねになるから、こうご返辞をしたのです。私は自分でも
クリスマスだって愉快にはしていない。ですから怠惰者を愉快に
してやるわけにはいきません。私は今挙げたような施設の維持を
助けている。それだけでも随分かかりますよ。暮しの立たない者
はそこへ行くがいいのさ」
団体の男「多くの人がそこへ(行こうと思っても)行かれません。
また多くの人は(そんな所へ行く位なら)いっそ死んだ方がまし
だと思っておりましょう」
スクルージ「いっそ死んだ方がよけりゃ、そうした方がいい。そ
して、過剰の人口を減らす方がいいですよ。それに、失礼ですが、
そういう事実(実際に死んでいる)は知りませんね」

 ようするにスクルージはちゃんと納税していて、その税金が福
祉に有効に活用されていないのは自分のせいではないと主張して
いるのだ。しかし、この後、スクルージは3つの精霊と過去、現
在、未来への旅をして、自分も子供時代に貧しく、孤児院のよう
な所に預けられていたことや貧困に苦しんでいる人の実情をまの
あたりにして、政府に頼らず自ら貧困者の救済にのりだすことで
終わっている。

 これは作り話だが、現実の歴史で金持ちと貧乏人が手を組んで
成功した例がこの日本で起きている。
 金持ちの薩摩藩と貧乏な長州藩が手を組んで徳川幕府を倒した
明治維新だ。
 幕府を倒したところまではすばらしいのだが、すぐに政府を作っ
てしまった。
 当然、政府がまともに機能するはずがなく、その欠陥から国民
の目をそらせるために、わだと外敵を作り、侵略戦争を開始した。
 今の日本政府も中国や北朝鮮、そして韓国まで敵視するような
発言を繰り返して国民を欺こうとしている。

 神様でさえアダムに仕事を任せて失敗した。
 人が人に任せてうまくいくわけがない。

 諸悪の根源は政府であり、金持ちと貧乏人は手を組んで、こう
した政府を消滅させなければ、けっして平和で豊かな国にはなら
ない。

 その第一歩となる私の提案が以下だ。

「世界中の財布を一つにすると・・・」
http://tsyatu.blogspot.jp/2014/01/blog-post.html

 政府のない国は存在できるが、国民のいない国は存在できない。